野良猫エンジニアの放浪記

気ままに、時には全力なエンジニア目線で。

【よくわかる】アナログ電話の仕組み

こんにちは!Nozinekoです。

 

少し日が経ってしまいましたが、今日はアナログ電話について紹介します。

 

一昔前には多くの家庭に固定電話があり、使われていた方が多いかと思います。

僕も実家には固定電話がありましたし、小学校や中学校くらいまではクラスの連絡網として固定電話でやり取りするケースがよくありました。

そして、当時は固定電話といえばアナログ電話だったんですね。

 

最近では携帯電話が普及し高性能になったこともあり、自宅に固定電話がないという方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

僕も社会人になってから固定電話は契約していませんし、プライベートで使うことはありません。

IP電話を扱うエンジニアなので仕事柄目にする事や対応する事はありますがやはり時代を感じるものがあります。

 

今日はそんなアナログ電話について紹介したいと思います。

それでは行ってみましょう!

 

電話の歴史

諸説ありますが、アレクサンダー・グラハム・ベルが1876年3月に電気式電話機の特許を取得したのが始まりと言われています。

電話の基本技術が出来上がったのはもう140年以上も前のことなんです。

どうやって動いている?

電話としての基本機能は以下の4つです。一つずつ見ていきましょう!

電話機から電話交換機に対して、通信先の電話番号を伝える

まずは受話器をあげて通信先の番号を交換機に伝えるところからですね。

電話機というのは単独で動くことは出来ず、基本的には交換機が制御しています。

なのでまずは交換機に合図を送らなければなりません。

 

交換機に「これから通信を開始するよ!」という合図を伝える第一歩が「受話器を持ち上げること」です。

(厳密にはフックスイッチと呼ばれるスイッチから受話器を離すこと)

受話器を持ち上げることで電話回線が接続されて「通信が始まるよ!」という合図が交換機に到達します。

 

ちなみにフックスイッチはこちら。↓の赤い部分です。

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通信を始める合図を送ったらいざ、番号を押しましょう!

番号を押したときの信号を送る形式はたくさんあるんですが、どれも共通しているのは「ボタンに対応した電気信号の強弱」で交換機が数字を判断していることです。

 

交換機は通信先の番号が判別できたら、呼び出し先の電話機を呼び出します。

 

電話交換機は呼び出しを検知し、通信先の電話機に着信を伝える

無事に相手先の番号がわかり、どこに繋がっているかを交換機が判断したら次は着信です。

交換機は相手先の電話番号と関連づいている電話機に着信があったことを知らせるため、「相手先の電話が鳴るように」信号を出します。

信号を受け取った電話機は着信音を鳴らし、受話器を持ち上げることで発信元/発信先の電話機が「接続」されて通話が開始されます。

 

アナログ電話は上にも書きましたが、「フックスイッチが離れている状態」が交換機に接続されている状態なので、発信元と発信先でスイッチが離れてないといけないんですね。

そのために発信先が受話器を上げて交換機に接続されるよう「音を鳴らす」信号を出してお知らせしているわけです。

 

音声を電気信号化し、電気信号を相手に伝えて、到達した電気信号を音声に戻す

いざ繋がったらさぁ通話開始!

ここからは受話器の出番ですね。

 

受話器は人が話した「声」を波形の電気信号に変換します。

波形の電気信号に変換したら遠くの距離まで届くように交換機がその信号を増幅して劣化しないように中継します。

中継された電気信号が発信先の受話器に到達したら、その電気信号を再び「声」に戻しているんですね。

 

専門用語を使うと「エンコードとデコード」です。

「声」そのものは空気中を振動している音の波なので、音の波を電気信号に変換して遠くに届けることを実現したのが電話機です。

 

通話が終了したことを電話交換機に伝え、通信を切断する

さて、世間話もほどほどに楽しい時間は終わりを迎えます。

 

双方の電話機が接続されている状態を解除するためには、電話機から交換機に対して「通話終了するね!」という信号が必要です。

通話の終わり方は、受話器を置くこと=フックスイッチが電話回線を遮断している状態にすることです。

受話器が置かれることによって、交換機は接続状態の電話回線から電気信号が途絶えた事を検知して「通話が終了した」と判断します。

 

片方の電話機が通話を終了したことを検知すると、交換機はまだ接続している電話機に対して「通話は終わったよ」という信号を電話機に出します。

それが「ツーツー」という音ですね。相手先が通話を終了したことを知らせるための音です。

 

ここまで述べた4つが電話としての主な機能です。

使われなくなった理由は?

一つの大きな理由は携帯電話の普及です。

 

携帯電話の性能が非常に良くなり、通信手段の一つとして爆発的に普及したことによって固定電話の利用者は激減してしまいました。

さらに携帯電話を基準としたサービスも加速度的に増えていったことも追い討ちをかける結果となります。

持ち運びできていつでも通話できる方が便利ですよね?

 

また、IP電話が開発され品質が良くなったことも要因の一つです。

技術革新が進んだ結果、低コストで維持が容易なIP電話サービスの利用者が増えたこともあり膨大な設備投資が必要になるアナログ電話は縮退の道を辿るしかありませんでした。

 

携帯電話の普及、IP電話技術の品質向上、設備投資としてみたときの費用対効果など様々な要因によってアナログ電話は淘汰される結果となりました。

 

今後どうなる?

NTTは2020年から順次アナログ電話回線を廃止する事を発表しているため、あくまでもサービスとしてみた時のアナログ電話と電話回線は確実になくなります。

それと同時に、多くの企業が利用し続けているデジタル回線(INS64やINS1500)も廃止されるため、日本国内の企業はIP電話への切り替えを余儀なくされている状況です。

 

とはいえ、じゃあ日本国内の企業の全ての電話番号が050~になるかといえばそうはなりません。

日本国内の電話番号(03~や06~)が変わることはないため、あくまでも利用者から見た時には電話を管理しているNTT内の仕組みが変わっているだけ、という状況になるでしょう。

企業さんは色々やる事があるので、切り替えは大変でしょうけれど…NTTの決定なので…。

 

小ネタ

受話器が置かれている状態=電話回線が切断されている状態をオンフック、

受話器が離れている状態=電話回線が接続されている状態をオフフックといいます。

 

疑問ではないですか?

繋がっているほうがオンフック、ならしっくりくる人もいるかもしれません。

何故か?

 

実は、受話器が置かれている=フックスイッチが回線に接地している=電気信号が遮断されている状態なんですね。

受話器がフックスイッチの上にオンしている=オンフック=切断状態なんです。

 

逆に、受話器が離れている=フックスイッチが回線から離れている=電気信号が流れている状態です。

なので受話器がフックスイッチの上からオフしている=オフフック=接続状態なんです。

 

この場合のオンとオフは、

オン=On=物体(フックスイッチ)の上に乗っている状態

オフ=Off=物体(フックスイッチ)から離れている状態

というニュアンスでこのようになっているようですね。

(へぇ~へぇ~)

 

終わりに

さて、今回はアナログ電話について紹介させて頂きました。

あんまり見ることもないと思うので、アルバイト先だったり、近くのお店だったりにある電話機を観察してみてはいかがでしょうか?

 

電話網のサービス、という観点では2020年から順次廃止が決定しています。

奇しくも2020年の東京オリンピックで賑わっている中、僕たち電話エンジニア達は裏で色々対応しているという事実もあるのでした。

 

では、次回はIP電話について紹介したいと思います!